・積立投資をとりあえず始めたけど、終わり方(出口戦略)はどう考えておけばいいの?
・積立投資の取崩し方法ってどんな方法があるの?それぞれのメリット・デメリットは?
こういった疑問や悩みに答えます。
✓本記事の内容
1.終わり方を考える上で知っておくべきことをまとめました。
2.積立投資の終わり方を4STEPでまとめました。
3.取崩し方法の種類とメリット・デメリットをまとめました。
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こういった私が、解説していきます。
終わり方を考える上で知っておくべきことをまとめました。
投資は登山のイメージに良く似ています。
登山は、上りより下りの方が難しいと言われています。
理由としては、
上りなら悪天候の場合は待機し、
それでも無理そうであれば一旦引き返して再挑戦することもできます。
しかし、
下山となると、悪天候だからといって、ずっとその場に留まっていると、
食料も体力も尽きて死んでしまう危険性があるためです。
これを前提に投資へ置き換えて考えてみると、
資産を増やすという上りよりも、
積上げた資産を売却してそれを使っていく道のりの方が、はるかに難しいということです。
また、
山を上り始めてから下りのことを考えるよりも、
上り始める前から下りの計算を頭に入れておいた方が、より計画的に登山することができます。
これについても投資へ置き換えて考えてみると、
終わり方を理解した上で投資をやる方が将来的な不安も減り、より計画的に進めることができる、ということです。
そして、ここでしっかり理解しておいていただきたいことが、
投資の真の目的は『お金を増やすこと』ではなく、
『積上げた資産を計画的に取崩して、そのお金を有意義に使うこと』です。
そういった中で、
出口を考えずに資産運用をするということは、出口のない迷路に挑戦する、ことと同じものです。
だからこそ、
資産運用をするからには、終わり方を理解しておくことが必ず必要です。
その上で、解説していきます。
終わり方を考える上で知っておくべきこととは、
以下の「リタイア近辺で起こる2つの症例」のことを指します。
リタイアが近づいてきた人にありがちな症例として、2つのパターンが存在しています。
1つ目は「資産を早く売却して現金化したい症」です。
積立ててきた資産を売却し、現金化して利益を確定しない限り、
投資の利益は絵に描いた餅となってしまいます。
そのため、以下のように考える人がいます。
・リタイアを前に投資を終え、分かりやすくゴールしたい。
・株価の上げ下げを気にしない人生に早く入りたい。
そして2つ目の症例は、「投資のペースを変えれない症」です。
投資で資産が増えることを実感し、楽しんできた人ほど以下のような考え方に陥りがちです。
・積立ててきた資産を、取崩したくない。
・資産を使うこと無く、積上げ続けたい。
・リタイア前と変わらないリスクを取り続ける。
上記の2つの症例のように、
「投資から完全離脱したい人」と、「ペースを変えずに投資を続けたい人」に大きく分かれます。
どちらにも課題があるとすれば、リタイア後はどのような対応を取っていくべきなのでしょうか。
答えは、2つの症例の中間にあたる、以下のような対応となります。
・ペースは落としつつ投資を続けて、資産の寿命を延ばす。
・積立てペースを落として、使うことに焦点を当てる。
要するに、
資産を増やすことと、使うことのバランスが重要ということです。
積立投資の終わり方を4ステップでまとめました。
インデックス投資で資産を増やすステージと、
積上げた資産を使うステージとでは状況が全く異なります。
先ほど上記で登山で例えて解説したとおり、
上りと下りの考え方が違うように、
資産運用についても、下りならではの考え方を理解する必要があります。
ここからは、
資産運用の下りと言える、
積立投資の終わり方について4ステップに区別して解説していきます。
まず、4ステップの全体像は以下のとおりです。
ステップ①:投資のリスク割合の量を落とす。
ステップ②:リスク資産の1本化を図る。
ステップ③:ファンド解約のマインドへ切替える練習をする。
ステップ④:年1回ごとに全資産(安全資産+リスク資産)を定率で取り崩す。
ステップ①:投資のリスク割合の量を落とす
投資を開始して寿命が尽きるまでの間で、
ステージを以下の4つに分けると理解しやすいです。
(ここでは投資を35歳から開始して、100歳で寿命が尽きることを前提とします)
・35歳~60歳⇒積立期
・60歳~65歳⇒準備期間(退職前5年間)←ここからステップ①がスタート
・65歳~90歳⇒取崩し期
・90歳~100歳⇒終了期
上記の「準備期間」(退職前5年間)に、
まず最初にやるべきことが「投資のリスク量を落とす」ことです。
資産は、一般的に以下の2種類に区別されます。
・安全資産⇒預貯金、個人向け国債など、元本が基本的に確保されている資産
・リスク資産⇒元本が確保されておらず、市場価格が変動する資産
若いうちは、ある程度のリスクを取ることができるでしょう。
理由としては、
収入もどんどん増えることが期待できる上、
万が一仕事を失ったとしても次の働き口も見つけやすいからです。
しかし、
65歳を過ぎて退職してしまうと、若い時のようにはいきません。
そのため、65歳に向けて以下のようにリスクを落としていくべきです。
わかりやすく言うと、
リスク資産に重きを置いていた構成から、
安全資産である預金の比率を高くした構成にシフトするといったイメージです。
例としては、以下のとおりとなります。
例①:
【これまで(60歳まで)】
預金(安全資産):株式ファンド(リスク資産)=2:8
【60歳~65歳まで】
預金(安全資産):株式ファンド(リスク資産)=4:6に移行
また、以下のようなリスクの落とし方も考えられます。
安全資産とリスク資産の比率はそのままにして、
リスク資産の中身をより低リスクなバランスファンドに変えるというイメージです。
例としては、以下のとおりとなります。
例②:
【これまで(60歳まで)】
預金(安全資産):株式ファンド(リスク資産)=3:7
【60歳~65歳まで】
預金(安全資産):債券50株式50のバランスファンド(リスク資産)=3:7に移行
要するに、
リスクを落とすということは、整理すると以下のようなこととなります。
1.安全資産(預金など)の割合を増やす。
2.リスク資産を、より低リスクなものへ置き換える。
ステップ②:リスク資産の1本化を図る
上記の「準備期間」(退職前5年間)の、
2番目にすべきことは「リスク資産のスリム化」です。
つまり、保有しているリスク資産の数を減らす、ということです。
もし5本のファンドを持っているのであれば、思い切って1本に集約する、というワケです。
リスク資産のスリム化をすべき理由は、資産の取り崩しを楽にするためです。
例えば、一例として以下の状況を考えてみます。
【ファンド取り崩しの一例】
・No.1〜No.5のファンドが200万円ずつ、総額1,000万円ある。
→ 生活費として100万円のお金が必要になった時、どのファンドから取り崩す?
以外と難しい問題なのではないでしょうか。
これは、持っているファンドが多いほど管理が複雑になります。
管理が複雑になるとは、
以下のような考えることが増えることを意味します。
【ファンドが多いと管理が複雑化する】
・含み益があるものから取り崩すべきか?
・含み損があるものから取り崩すべきか?
・すべてのファンドから均等に取り崩すべきか?
どのファンドから取り崩すか迷っているうちに、
取り崩すこと自体が面倒になってしまったり、
ポートフォリオのバランスが崩れてしまったりすることがあります。
だから、
思い切って1本に集約してしまうことで、
考えることを極力減らして、資産の取り崩しを行っていこうというわけです。
ステップ③:ファンド解約のマインドへ切替える練習をする
上記の「準備期間」(退職前5年間)の、
3番目にすべきことは「ファンド解約の練習」です。
理由としては、
数十年と長い期間に渡り、黙々と資産を積上げてきたことで、
資産を積むことが日々の習慣となってしまっている可能性が高いためです。
そのような投資家がある日を境に、
「ファンドを売って、使いなさい」と言われても、
マインドをすぐ切り替えることは難しいはずです。
そこでマインドを切り替えるために以下のようなことをトライしてみましょう。
✔準備期間で、ファンドの一部金額を任意解約してみる。
✔金額としては、可能であれば10万円以上、50万円単位の解約でも問題無し。
✔その上で、解約がこれからの日常になると自分に言い聞かせる。
✔解約して生まれた現金は、自分に有意義な様々な用途で使用してみる。
増やすマインドを解いてあげる努力が必要です。
お金を増やすためには訓練が必要となるように、
お金を減らすのにも訓練は必要です。
ステップ④:年1回ごとに全資産(安全資産+リスク資産)を定率で取り崩す
退職前の5年間を準備期間として、以下の3つのステップを実行してきました。
ステップ①:投資のリスク量を落とす
ステップ②:リスク資産のスリム化を図る
ステップ③:ファンド解約の練習をする
そして、
ステップ4からが本格的な「取崩し期」となります。
上記のおさらいにはなりますが、
期間ごとの「〇〇期」とは、以下とおりとなります。
35歳~60歳 :「積立期」
60歳~65歳 :「準備期間」
65歳~90歳 :「取崩し期」
90歳~100歳:「終了期」
インデックスファンドの代表的な取崩し方は、以下の2種類です。
1.毎年定額で取崩す
2.毎年定率で取崩す
こういった中で、
オススメするのが「毎年定率で取崩す」です。
その理由は、資産寿命が延びるからです。
これだけではわかりずらいと思いますので、もう少し具体的に説明しましょう。
定率で取崩すということは、以下のような関係性となります。
【定率で取崩す意味】
・株式市場が好調で資産額が増えた時⇒取崩し額が増える
・株式市場が不調で資産額が減った時⇒取崩し額が減る
一例として、
投資元本が2,000万円だとして、以下のように考えてみましょう。
【投資元本が2,000万円の場合】
・株式市場が好調
元本2,000万が⇒2,500万に増えた時⇒取崩し額は2,500万×3%=75万
・株式市場が不調
元本2,000万が⇒1,800万に減った時⇒取崩し額は1,800万×3%=54万
もし、
不況時で評価額が伸び悩んでいる時に、
大きな金額を取り崩すとどうなるでしょうか。
そこで、「毎年定額で取崩す」を選択した場合で考えてみましょう。
例えば、
毎年200万を使うとして、
評価額が1,800万に減っている時に200万を使っていれば、
資産は10年も持たずに失くなってしまいます。
インデックス投資の世界では、
積立は定額、取り崩しは定率ということが、半ば常識となっています。
「インデックス投資において積立は定額、取り崩しは定率」ということは、
知っておきましょう。
★更に具体的な取崩しルール★
ここからは、更に具体的に取崩しルールを解説いたします。
例えば、以下のポートフォリオで老後をスタートしたとします。
老後のポートフォリオ一例
1.預金:1,000万
2.全世界株式ファンド:1,000万
安全資産5割、リスク資産5割の資産バランスとなっています。
そして、取り崩しのルール1は以下のとおりです。
【ルール1】
・年末に総資産額を算出し、取崩し額を決定する!!
(ここでは総資産からの取崩し率を「3%」とします)
例えば、
年末の全世界株式ファンドの評価額が1,200万に増えていたとしましょう。
その時、総資産額は以下のとおりとなります。
・預金1,000万+全世界株式1,200万=2,200万
この時、
取崩し率を3%とすると、取崩し額は2,200万×3%=66万となります。
そして、取崩しのルール2は以下のとおりです。
【ルール2】
・年初に取崩しを実施する!!
取崩しは、
リ・バランスを兼ねて年初に実施するようにします。
この時気をつけるべきポイントがあります。
以下のような取り崩し方は、
ポートフォリオのリスクバランスが変わるため避けましょう。
【NGな取崩し方】
NG①:安全資産部分だけから3%を取崩す
NG②:リスク資産部分だけから3%を取崩す
正しくは、
安全資産とリスク資産の比率が一定になりように取崩します。
具体的には、
2,200万から3%の66万を取崩すと、総資産額は2,134万となります。
そして、
総資産額である2,134万を、以下のように按分するのです。
【安全資産とリスク資産を5:5で按分する】
1.預金:2,134万の50%=1,067万
2.株式:2,134万の50%=1,067万
上記の形が、取崩し後のあるべき資産構成となります。つまり答えです。
そして、
取崩し後にこの資産構成の答えに持っていくためには、
以下のようなプロセスを踏む必要があります。
【取崩し後のプロセス】
STEP①:1,200万の全世界株式ファンドを133万分売る
⇒1,200万-133万=1,067万になり、答えと合致する
STEP②:①で売った133万のうち、67万は預金にしておく
⇒もともとの預金1,000万+67万=1,067万となり、
答えと合致する
STEP③:余った66万(①で売った133万-②で預金にした67万)は、
自由に使う
上記のプロセスを経ることで、
預金と株式ファンドの比率を正しく守ったまま、
総資産の3%を自由に使うことができるワケです。
これまでの取崩しルールを聞いて、
「数字が多すぎて困惑する!!」と感じた方も多いとは思います。
ファンドをスリム化して、取崩し回数を年1回にした理由は、
出来る限り取崩しを簡略化して、上記のような方が失敗しないためです。
(本来は、上記のプロセスを毎月行って毎月定率で取崩すことがベスト)
しかし、
実際問題としてファンド1本、取崩し回数年1回ですら、
上記のように複雑なプロセスが必要になります。
複雑な管理をしようとして、
失敗してしまうといつの間にか資産バランスが崩れてしまいます。
そして、
資産バランスが崩れてしまうと以下のような状況に陥る可能性も出てきます。
【資産バランスが崩れて陥るかもしれない状況】
①気がついたら、リスクを取りすぎていた。
⇒暴落で絶望
②気がついたら、安全資産の比率が多くなっていた。
⇒ある程度、株式を持たなければ資産は増えない、
つまり長生きリスクに対処出来ない
取崩し方法の種類とメリット・デメリットをまとめました。
上記でも簡単には解説いたしましたが、
運用を継続しながら定期的に取崩す方法としては、
一般的に「定額取崩し」と「定率取崩し」の2種類があります。
それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりとなります。
【取崩方法とそれぞれのメリット・デメリット】
①定額取崩し
・メリット:
自分が決めた金額を受取ることができる
・デメリット:
相場下落時の場合に多く取崩すことになる
相場次第で資産寿命が予想以上に短くなるリスクがある
②定率取崩し
・メリット:
保有資産に対し、自分が決めた比率を乗じた金額を受取ることができる
運用手段によっては資産寿命を長期化することができる
・デメリット:
相場動向によって解約金額が左右されるため、ギリギリまで金額が定まらない
相場動向により、自分が必要とする金額を満たさない可能性がある
資産寿命を優先に総合的に考えると、
やはりオススメするのは、
上記で説明したとおり、「定率取崩し」がオススメかつ一般的です。
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